先日GIFTに通われている保護者から進路相談の依頼があり、お子さまが宿泊学習に行っている日に、ご両親様とお話させていただきました。その保護者様から学ばせていただいたことがあったので、シェアしたいと思いま
す。
この保護者様と同じように、どの保護者様もお子さまの進路については永遠のお悩みです。当のこどもは、進路を決めていくこと自体にピンと来ていない感じ、上級学校に行くという環境の変化を怖れているかのような不安定な様子、体の成長と心の成長が何かアンバランスな感じなど何とも自分事ではありません。そんな中保護者のみなさんは、先輩ママさんからの情報や学校の面談で、上級学校についての話を我が子にはどうだろうか?と思案し続けておられます。
1)進路決定の基準が変わっている
そんな中、GIFTの親の会でも話題の中心になりますが、みなさん言われるのは「学校生活を楽しんで欲しい」「より幸せな選択はどちらだろう?」「この子に友達との体験を大切にして欲しい」という言葉です。この言葉の内容は、30年障害児教育に携わった者としては、とても新鮮です。当時は、「将来の就職のため」「家から近いから」「バスに乗って行ってくれたら安心」という選択基準でした。また、学校選択の幅が特別支援学校・職業訓練校、やっと少数の通信制高校くらいだったので上級学校への希望が持ちづらかったのかもしれません。
上級学校(高等部・私立中学校)の後にも進路選択はあるのですが、進路選択の基準が「先の安心のための3年」ではなく、「今この時を有意義に」という基準になっているのです。
2)相談に来られた保護者のピカッと光る行為
さて、先日来られた保護者の行為に、私たちはドキドキしました。それは、1冊のノートでした。そのノートには学校の名前が上部に書かれ、左半分にこの学校に通わせるメリット右半分にデメリットがびっしり書かれていました。そのページは学校の数だけあり、ご両親様の丁寧な姿勢が一目瞭然でした。今まで教員時代も含め、ご両親でこれほどまでに丁寧なノートを拝見したのは初めてでした。そしてそのノートには学校見学に行かれた際の記録も丁寧に記され、お子さまの様子も記録されていました。
私たち夫婦はずっと障害児教育に携わってきているので、持論を熱く語るのは慣れっこですが、冷静に俯瞰して物事を見ることを今本当に身に着けたい技量です。
3)そして、結論は…。
話し合いが始まりご両親様の思う進路先のメリットデメリットを伺いました。通学のこと・学習内容のこと・友達のことについてのご両親さまの意見が出され、もっともなごいけんでした。私どもからは、長いスパンでの進路選択もありますよ!という案内をさせていただきました。そして、結論は…。この場では、出ませんでした。
4)幸せを創造する力があります。
私たちがお伝えしたのは、「〇〇くんには、幸せを創造する力があります。〇〇くんには、人を笑顔にさせる力があります。」という内容でした。そして、「〇〇くんの選択を大切にしてください。」という事をお伝えしました。
5)学びを深めるGIFTの進路相談
私たちの進路相談は、各ご家庭に合わせた相談内容であることは当然です。そして、こども本人がの進路決定ができる環境をご両親と一緒に整えていく場と考えています。凸凹があるけれど有意義に幸せに、上級学校に進路を決定したり職場を決定することができるように寄り添って励まし続けていきます。加えて、この度ご相談いただいたご両親の持っておられたメリットとデメリットという視点を改めて取り入れたいです。
投稿者プロフィール
- 特別支援教諭。元、公立中学校の教員。公立中学校での教員生活17年間の内、12年間を特別支援学級の教員として務めた。上郷個別教室GIFTのスタッフ兼、同教室の保護者会を主催している。趣味は神社仏閣巡りとパン作り。
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